いわきが2024年シーズン加入内定の選手をリリース
来季クラブ史上初のJ2に昇格するいわきFCが、12月24日のクリスマスに大学所属3選手の2024年シーズンの加入を発表しました。翌々シーズンの加入内定発表だけでもかなり異例ですが、J2初昇格のクラブが、自クラブ出身でもなく日本代表にも選ばれていない選手を3人も翌々シーズンの獲得発表をするのはあり得ないくらい異例ですね。
気になりすぎたので調べてみました。
FW近藤慶一(名古屋学院大3年)
プロフィール
〇名前:FW近藤 慶一(こんどう よしひと)
〇生年月日:2002年3月3日(20歳)
〇身長/体重:182cm/81kg
〇経歴:多治見ZERO FC-瀬戸FC-中京学院大附中京高-名古屋学院大(3年生)
高校時代はプリンスリーグ東海所属も最下位、全国出場なし
高校時代の所属は中京学院大中京高。プリンスリーグ東海に所属していましたがチームは最下位。そして本人も3得点と結果を残せなかった模様。
岐阜県内でも3年間で全国出場はなし。3年時のインターハイでは決勝で帝京大可児に敗れ、選手権では各務原とPK戦の末準決勝敗退し、あと一歩のところで全国には届きませんでした。
大学で得点力開花、デンソーチャレンジカップ2022東海選抜に選出
大学は東海1部に所属する名古屋学院大に進学。
1年時はチームが12チーム中11位で本人も3得点と結果が出ませんでしたが、2年時には得点ランキング2位の10得点と結果を残し、チームも3位に躍進しました。この活躍を買われてデンソーチャレンジカップ東海選抜のメンバーに選出、3位躍進に貢献し、優秀選手に選ばれています。
今年の大学リーグでも11得点で得点ランキング4位と結果を残しています。まあ、今年の東海リーグはレギュレーションが特殊で、前期に1回戦総あたりのリーグ戦を行った後、上位6チームをAリーグ、下位6チームをBリーグとして後期2回戦総当たりのリーグを行ったみたいです。今年の名古屋学院大はBリーグ3位なので総合9位。後期リーグは下位同士の対戦しかないため、参考になるかというと微妙な気がしますが、継続して結果を出しており来年も活躍しそうです。
DF辻岡佑真(IPU・環太平洋大3年)
プロフィール
〇名前:DF辻岡 佑真(つじおか ゆうま)
〇生年月日:2001年12月9日
〇身長/体重:183cm/83kg
〇経歴:MFC高松-MFC高松Jrユース-高松工芸高-IPU・環太平洋大(3年生)
高校時代は香川県1部の高松工芸
中学時代は四国大会常連の強豪MFC高松に所属。
高校は香川県1部リーグ中下位レベルの高松工芸。全国出場なく3年間を終えます。
大学は岡山のIPU・環太平洋大へ進学、デンチャレ中国選抜に選出
MF加藤悠馬(拓殖大3年)
プロフィール
〇MF加藤 悠馬(かとう ゆうま)
〇生年月日:2001年12月15日
〇身長/体重:164cm/63kg
〇経歴:有岡FC-神戸伊丹U-15-神戸U-18-拓殖大(3年生)
高校はヴィッセル神戸U-18でプレー
中学・高校はヴィッセル神戸のアカデミーでプレー。上の学年にはDF前川智敬(アスルクラロ沼津)やDF小林友希(セルティック)、DF本山遥(ファジアーノ岡山)、MF佐々木大樹(ヴィッセル神戸)、来季神戸内定のMF泉柊椰(びわこ成蹊スポーツ大)、同期や下の学年にはヴィッセル神戸に2024年加入内定しているMF山内翔(筑波大3年)、FW小田裕太郎(神戸)、尾崎優成(神戸)がいます。
出場時間だけ見るに、レギュラー確保とまでは至らなかったようです。
大学は名門の拓殖大
大学は当時関東2部の拓殖大。静学出身のMF浅倉廉と同期にあたります。拓殖大は2020年に関東2部で2位に入り1部復帰。加藤は2021年シーズンに関東1部で16試合1得点1アシストを挙げ、デンソーチャレンジカップ2022の関東選抜Bに選出されました。
そして今年は17試合4得点4アシストを挙げ、結果を残しました。
いわきの選手獲得の方針は「向上心と吸収力」
デンチャレのメンバーに選ばれているとはいえ、お世辞にも有名な選手とは言えない3選手の獲得を早々と発表したいわき。これまでの選手獲得も知らない選手が多く、サポーターではない外野からはいまいちなじみにくい印象が強いかなと思います。
そんないわきも明確な基準をもって選手獲得を行っています。
成長意欲と勝利を相関させるための大きなポイントが選手獲得だ。
特に重視するのが、向上心と吸収力の高さだ。成長したいという向上心と、毎日のサッカーの練習や徹底的なストレングストレーニングからさまざまなものを吸収する力。それらを持つ、伸びしろの多い選手に来てほしい。
いわきFCの選手の平均年齢が若いことには、そういった背景がある。
(中略)
だから吸収力と向上心が高ければ、多少欠けている部分があろうと獲得に動くこともある。(中略)J1、J2のクラブから声がかかりにくい選手でも、伸びしろがあるなら獲りに行く。
なぜなら、変えられるからだ。
いわきFCパークにはしっかりしたトレーニング施設があり、(中略)吸収力と向上心が高ければ、彼らが足りない部分を補い、成長することを手助けできる環境がある。
実際、今の選手達は学生時代、Jクラブからオファーをもらえなかった雑草のような存在ばかりだ。
例えばキャプテンのMF山下優人は大学時代、全日本大学サッカー選抜チームに入っていたものの、Jリーグのスカウト網から漏れていた。SB日高大は流経大卒業後すぐJクラブには行かず、Honda FCからプロを目指した選手。J3得点ランキング1位のFW有田稜はケガがちで、大学4年までほとんど試合に出ていなかった。
みんな何かが足らなかったり、何かしら苦労や挫折のストーリーを抱えていわきFCにやってきた選手。だから向上心が強く、いろいろなことを貪欲に吸収しようとする。
そんな彼らが生み出すパワーが勝利に直結すると信じて、J2まで上がってきた。
さすが”日本のフィジカルスタンダードを変える”と豪語するチーム。
新加入選手
来季の新加入選手は以下の通り。
GK高木和は明らかに即戦力の補強。守護神GK坂田大樹がアビスパ福岡に引き抜かれたためですね。その他の選手は大倉社長の言葉通り、将来性を見込んでの獲得です。
Pos. | 選手 | ふりがな | 年齢 | 生年月日 | 身長/体重 | 前所属 |
---|---|---|---|---|---|---|
GK | 高木和 徹 | たかぎわ とおる | 27 | 1995/4/15 | 185/80 | 東京V |
DF | 石田 侑資 | いしだ ゆうすけ | 20 | 2002/11/11 | 175/73 | 鳥取 |
DF | 河村 匠 | かわむら たくみ | 22 | 2000/9/13 | 177/68 | 大阪体育大 |
DF | 速水 修平 | はやみ しゅうへい | 22 | 2000/11/11 | 182/78 | 常葉大 |
MF | 加瀬 直輝 | かせ なおき | 22 | 2000/6/7 | 167/56 | 流経大 |
MF | 下田 栄祐 | しもだ よしひろ | 18 | 2004/5/5 | 178/74 | 鹿島 |
MF | 鏑木 瑞生 | かぶらき みずき | 22 | 2000/5/28 | 173/65 | 拓殖大 |
FW | 坂元 一渚璃 | さかもと いおり | 18 | 2004/11/22 | 184/68 | 報徳学園 |
MF下田栄祐はU-18日本代表にも選ばれる逸材。鹿島のレジェンド小笠原満男と同じ岩手出身、同じボランチ、そしてユースからその小笠原と同じ背番号40を身に着け、クラブやサポーターから期待されています。そんな下田は2年間の育成型期限付き移籍加入。明らかにいわきでしっかりとフィジカル鍛えて戻って来いよというメッセージが込められています。
また、FW坂元一渚璃は報徳学園初の高卒プロ選手となりました。大倉社長をして「日本のジルーになる」と言わしめる将来性豊かな選手。注目して見ていきたいです。
契約満了選手
対して今シーズン限りで契約満了を告げられた選手はこちら。大卒1~2年で契約満了となる選手が何人かいて悲しい・・・。特にMF伊藤稜馬は静岡学園、国士舘大を経て2022年シーズンに加入しましたが、1年での放出。厳しい世界です。
Pos. | 選手 | 生年月日 | 年齢 | 前所属 | 加入年 | 在籍年数 |
---|---|---|---|---|---|---|
DF | 増崎 大虎 | 2000/6/27 | 22 | 鹿島ユース | 2019 | 4 |
DF | 小田島 怜 | 1996/6/10 | 26 | 相模原 | 2020 | 3 |
DF | 米澤 哲哉 | 1998/4/4 | 24 | 東海大 | 2021 | 2 |
MF | 伊藤 稜馬 | 1999/5/28 | 23 | 国士舘大 | 2022 | 1 |
MF | 松本 健太郎 | 1996/3/14 | 26 | 岡山 | 2020 | 3 |
MF | 関野 元弥 | 1999/3/10 | 23 | 流経大 | 2021 | 2 |
FW | 鈴木 翔大 | 1993/4/3 | 29 | ソニー仙台 | 2020 | 3 |
まとめ
今回、いわきFCの選手獲得について調べました。
選手獲得は「向上心と将来性」を重視し、それさえあれば無名の選手だろうと獲得するという方針のもとでの今回の大卒3選手の獲得でした。来シーズン、そして2024年シーズンでいわきがどのようなサッカーを見せてくれるか、選手がどのような成長を見せてくれるか楽しみですね。
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