アスルが今、正念場を迎えています。
2021年末、クラブから突然
・J3クラブライセンス喪失の危機である
・クラブ存続の危機に瀕している
とのリリースがありました。
アスルのホームスタジアム、愛鷹広域公園多目的競技場。
スタジアム問題のためJ2ライセンスが取得できず、少なくとも2023シーズンまではどんなに成績が良くてもJ3暮らしであることは知っていましたが、突然のこのリリースにおそらくアスルサポーターだけでなく多くのJリーグファンにも衝撃が走りました。
アスルがJ3残留へ向けてクラファン開始
アスルのJ3クラブライセンス問題はいたって単純。
照明の照度がJリーグ基準を満たしていないということです。
アスル照明問題
アスルの照明問題は以下の通り。
・Jリーグで使用するスタジアムの照明照度は1500ルクスでなくてはならない。
・アスルのホームスタジアム愛鷹陸上競技場の照明は500ルクスしかない。
・2023シーズン開幕までに照明を改修し、照度を1500ルクスにしなければいけない。また、2022年6月までに設置を確約できていなければJFLに降格する。
・照明の改修費用は1億円以上。このうち3000万円をクラウドファンディング、寄付金で調達する。
かねてよりクラファンで資金を調達する旨はリリースがありましたが、ようやく動き出しました。
ちなみに、愛鷹の夜間照明はこんな感じらしいです。たしかに暗い。
愛鷹の照明問題。かつてのJFLジヤトコは愛鷹でナイトゲームを開催していましたが、ピッチも暗いし観客席はほぼ真っ暗でした。Jの基準はこの照度の3倍、、ですが東部地区のサッカーの明かりを消してはいけない。できる範囲で協力を。#アスルクラロ沼津 #愛鷹照明改修プロジェクト pic.twitter.com/BnYb4nisfY
— あさぎり (@Asagiri48) 2022年2月7日
今夕の愛鷹多目的競技場の照明。現在は照度500ルクス。J3リーグに留まるには2022年6月までに1500ルクスを具備とされている。先行きは今日も見えなかった。 pic.twitter.com/eQU4meDhnB
— アシタカ (@ashitaka20131) 2021年12月5日
ちなみに、明るさの単位は「カンデラ」「ルーメン」「ルクス」の3種類があります。
ルクスは「実際にその場所がどれくらい明るいか」を示しています。
クラファンは1万円から、寄付金口座は1円~可能!
クラファンでの返礼品は「クラファン記念Tシャツ」「支援者限定缶バッチ」「ホームゲーム招待券」「支援者ボードへの名前の掲載」「選手からのお礼メッセージ動画」等値段に応じて様々。高額になっていくとキックインセレモニー参加権や選手集合写真参加権のようにピッチに降りて選手たちと触れ合うことも可能になります。
また、クラファンでは最低1万円の寄付が求められておりますが、中高生や大学生にとって気軽に出せる金額ではありませんし、他サポからしたら返礼品いらん!となるかもしれません。そこで、寄付金口座を開設されました。寄付金口座は1円から寄付できるようになっております。
さらに、今後沼津市のふるさと納税にも展開していくとのことです。
JFL降格だけじゃない!アスルを取り巻くスタジアム問題とは
そもそも、アスルを取り巻くスタジアム問題とはいったいなんなのでしょうか。
照明問題でJFL降格の危機に瀕していますが、ほかにも同じくスタジアム問題のせいでJ2昇格が不可能という話もあったはずです。
クラブライセンス交付規則
まずは、Jリーグの規約・規定「J3クラブライセンス交付規則
を見てみましょう。
以下のリンクにはJリーグに関する規約・規定の一覧があります。
その中のJ3クラブライセンス交付規則を見てみると、第8条に「施設基準
というものがあります。
要約すると
・ホーム試合の80%以上を開催可能な「Jリーグスタジアム基準」を満たしたスタジアムを確保していることがライセンス交付条件である。
・Jリーグスタジアム基準については条件付きで例外を認める。
条件①
Jリーグスタジアム基準を満たすための工事に着工しており、ライセンス申請から4年後のシーズン開幕前日までに工事完了、使用できる状態になっている。
条件②
Jリーグ規約第34条第1項のを満たすスタジアムを整備することを文書で約束している。
ということみたいです。
これらはクラブライセンス問題でよく聞く「例外規定」というものに該当するっぽいです。下記リンクでは図付きで解説してくれています。
まあ要するに、クラブがどんなに強くてもスタジアムが基準を満たしていなかったら上位カテゴリーには上がれませんよということです。
Jリーグスタジアム基準
ここでようやくJリーグスタジアム基準について見てみましょう。
各項目について、重要度別に以下のように振り分けられています。J1とJ2は基本的には同じ基準、J3に関しては緩和されています。
重要度
◎ :必須
〇 :必須(例外あり)
★★★:あることが望ましい(期限検討)
★ :あることが望ましい
アスルが直面している主な項目は収容人数、屋根、照明の3項目です。
〇収容人数
J1:15000人
J2:10000人
J3:5000人(芝生席含む)
※椅子席ははJ1で10000席、J2で8000席以上
椅子席についての話があるのは、いわゆる「立見席」というものを設けているスタジアムがあるからですね。例えば、川崎フロンターレのホームスタジアム等々力陸上競技場はゴール裏に椅子のないコンクリの立見席があります。
J3は芝生席含めて5000人ですが、J2は芝生席抜きで10000人収容しなくてはなりません。
愛鷹多目的競技場の収容人数は、メインスタンド(座席)5000人、バックスタンド(芝生)5000人の合計10000人とされています。J3ではバックスタンドは使用していないので収容人数は5000人。J3規格でもぎりぎりです。
〇屋根
・新設または大型改修を行うスタジアムは原則としてすべての観客席を覆う屋根を設置すること。(J1、J2)
・現行のスタジアムの場合、観客席の3分の1以上覆う屋根であること。
アスルの説明資料には
「すべての観客席を覆う屋根を設置するのは現実的ではない」
と書いてあった気がします。
構造的な問題でしょうか。説明がないので全く分かりません。
〇照明
ピッチ内のどの位置で測定しても1500ルクス以上で均一であること。(J1~J3)
※J3は2022年6月までに必ず設置すること
ただし、将来的な照明設置が約束された場合は原則1年延長することを可能とする
J3も照明設備だけは期限付きで整備を義務付け
なぜか照明についてはJ3クラブにも2022年6月までの設置(もちろん1500ルクス以上)が義務付けられています。期限までに設置ができなくても設置の確約ができていれば2023年までに緩和されます。
もともとこんな規定はなかったから満たせていないクラブがあるわけですが、他クラブでも照明設備問題に揺れていたようです。(さすがに未だに焦ってやっているのはアスルだけみたいですが・・・)
今はデイゲームのみのJ3ですが、さすがに夏場のデイゲームは見る方もやる方もしんどいということで新たにルール化したのでしょう。
つまり、2023シーズンからはナイトゲームがあるということです。
とはいえ、愛鷹にはすでに500ルクスとはいえ照明設備が付いているわけです。
なぜ1500ルクスなのかっていう話です。
まあ、冒頭の写真を見れば500ルクスは暗すぎってのはわかるんですけどね。
詳しい内容は見れなかったのですが、JIS(日本規格協会)の規格に「JIS Z 9127 スポーツ照明基準」というものがあり、その中にサッカー(屋外)の項目があってそこで1500ルクスが適していますということが書いてあるみたいです。
また、JFAの発行しているガイドラインには照明の重要性が書いてありました。
なぜ1500ルクスかは書いていませんが、興味がある方はぜひ。
▼42ページの「第9章 照明と電力供給」について
スタジアム標準~サッカースタジアムの建設・改修にあたってのガイドライン~(日本サッカー協会)
藤枝MYFCにもスタジアム問題あり
藤枝MYFCは2020年に2021年度のJ2ライセンスを交付されております。
ただし、藤枝のホームスタジアム藤枝総合運動公園サッカー場はJ2基準を満たしておらず、改修計画があることから例外規定が適用されております。
2021シーズン J2クラブライセンス交付決定のお知らせ | 藤枝MYFC
藤枝MYFCの本拠地 総合運動公園サッカー場にLED照明|あなたの静岡新聞
https://www.ur-net.go.jp/orders/central/pdf/order_33329_1.pdf
まとめ
アスルクラロを取り巻くスタジアム問題を中心に取り上げました。
・Jリーグのスタジアム規定では1500ルクスの照明設備設置について、2022年6月までに目途をつけ、2023年6月までに完工することを義務付けている。
・達成できなかった場合はJFL降格。
・アスルは500ルクスの照明設備はあるが、スタジアム規定を満たせていない。
・クラファンや寄付金口座、ふるさと納税で工事費用を集めている
現在の進捗は以下の通り。
このまま目標金額達成まで走り続けてほしいですね。
【ホームスタジアム照明改修プロジェクト】
🔹現在の支援総額
8,670,500円(達成率28%)🔹支援者数
391人🔹募集終了までの残り期間
46日ご支援ありがとうございます🙇♂️https://t.co/f4m14bH0mA#愛鷹照明改修プロジェクト#全力
— アスルクラロ沼津【公式】 (@azulclaro1990) 2022年2月13日
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