準々決勝はプレミアWEST対決
国立を賭けた一戦はプレミアWEST対決となりました。静学は優勝した2019年以来、東福岡も優勝した2015年以来のベスト4入りを目指します。ちなみに、いずれの年も準決勝・決勝は埼スタ開催でした。
前回対戦は11/20のプレミアリーグですが、このとき静学は選手権県大会決勝からのターンオーバーで臨んでいたためあまり参考にはなりません。逆に東福岡は今回の選手権でも主力だったメンバーで臨んでいたため、静学にとっては”データあり”ということになります。そういう意味では多少静学が有利か。
東福岡はプレミアWESTで4番目に失点の少ないチームで、全国選手権でも3試合連続クリーンシートです。191センチの大型GK後藤洸太を中心とした守備を崩すのは至難。攻撃面では左WG神渡寿一のドリブル突破が脅威です。
試合記録
スタメン
静学はスタメン入れ替え。乾皓洋と篠塚怜音に代えて佐々木雄基と神吉俊之介がスタメン。神吉が右サイドに入り、原星也が左サイド。佐々木がインサイドハーフで加藤佑基がセンターフォワードに入りました。
東福岡もスタメン変更。左WGに注目ドリブラーの神渡寿一ではなく10番児玉愁都を配置。また、インサイドハーフには福澤隆大ではなく2年生の杉谷俊哉が入りました。
得点・アシスト
静岡学園 | 0(4PK5)0 | 東福岡 | ||||
交代 | ||||||
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15佐々木雄基 ②川崎フロンターレU-15 | → | 9乾皓洋 ③高石中央FC | HT | |||
18神吉俊之介 ②アミザージ神野 | → | 13篠塚怜音 ②ジェフ千葉U-15 | HT | |||
51分 | 7稗田幹男 ③下関市立垢田中 | → | 21北橋佑理 ②FC KAJITSU | |||
51分 | 28杉谷俊哉 ②アビスパ福岡U-15 | → | 16西田煌 ②廿日市FC | |||
72分 | 9伊波樹生 ③casa okinawa | → | 18齊藤琉稀空 ②福岡BUDDY FC | |||
72分 | 20塩﨑響 ③UKI-C FC | → | 12宇都宮夢功 ③FC Livent | |||
79分 | 10児玉愁都 ③オリエントFC | → | 17新貝颯大 ③小倉南FC | |||
SUBSTITUTE | ||||||
GK17野口晟斗 | ③ | 大阪東淀川FC | GK14神田謙二郎 | ③ | スマイス・セレソン | |
DF2土田拓 | ③ | 大宮アルディージャU15 | DF15林晃希 | ③ | FC Livent | |
DF5望月就王 | ③ | 静岡学園中 | DF22小林聖翔 | ③ | 浜松FC | |
DF20矢澤怜士 | ③ | 大阪東淀川FC | MF11神渡寿一 | ③ | ギラヴァンツ北九州U-15 | |
DF22國領英夢 | ③ | セレッソ大阪U-15 | ||||
MF19藤本虎之介 | ③ | アイリス住吉 | ||||
MF23池田双葉 | ③ | 千里丘FC |
静学はハーフタイムで佐々木と神吉を下げて乾と篠塚を投入し、いつもの形へ。
対する東福岡も51分、72分にそれぞれ2枚替え。51分に稗田幹男と杉谷俊哉から2年生の西田煌と北橋佑理を投入し、選手の配置を替えると、72分には伊波樹生と塩﨑響を齊藤琉稀空(るきあ)と宇都宮夢功(むさし)を投入。79分には児玉愁都を下げて新貝颯大を投入しました。
試合は80分では決着がつかず、PK戦へ。
1人目 | 2人目 | 3人目 | 4人目 | 5人目 | 6人目 | 合計 | |
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静岡学園 | 4岩田 | 10堀川 | 8天野 | 6野田 | 3関戸 | 9乾 | 4 |
○ | ○ | ○ | × | ○ | × | ||
東福岡 | 5山禄 | 4大坪 | 8佐藤 | 18齊藤 | 17新貝 | 12宇都宮 | 5 |
○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
互いに3人目まで全員成功させると、静学の4人目川崎フロンターレ内定の主将野田裕人のシュートがクロスバーを超えて失敗。絶体絶命のピンチに陥るものの、東福岡は5人目の新貝颯大のシュートもまさかのクロスバー上。
息を吹き返しましたが、続く静学6人目乾皓洋のシュートも同様にクロスバーを超え、万事休す。
所感
ゴールまで何度も迫るも得点を奪えずPK戦へ。PK戦ではキャプテン野田裕人とエースストライカー乾皓洋が枠外へ外してしまい、サドンデスの末ベスト8敗退が決まりました。これで静学として3大会連続、静岡県勢として5大会連続でのPK戦敗退となりました。今年は新人戦準決勝の浜松開誠館戦、インターハイ2回戦の東山戦でPK勝ちしていたので期待していましたが、呪縛から解き放たれることはありませんでした。
後で知りましたが、静岡県勢は全国選手権でのPK戦9連敗だそうです。
Xでは延長なし即PK戦のレギュレーションについてとやかく言う人がかなりいましたが、中1日での試合が続く日程で延長戦を行うことはかなりリスク高いですしね。PK戦で負け続けることについてはそもそもPK戦にまで持ち込まれたのが悪いと思うので。守られてもそれをこじ開けるのが静岡県代表だと思うので。
結果論から言えば、スタメンを入れ替えたこと自体は良かったものの、ハーフタイムで佐々木と神吉を両方代えてしまったことで流れを変えられる選手がベンチにいなくなってしまったのは痛かったと思います。
ストライカー不足みたいなことを言う人もXでは見かけましたが、それを言ったら神田奏真のいた去年はなんだったんだって話になるので的を射た話ではないと思います。ただゴールを決めきれなかった、というだけの話だと思います。残念ながら大会通じて枠内シュートが少なかったように思いますし、その部分を突き詰めきれなかったなという印象。
とはいえ、そもそも守備の堅い東福岡が守りを固めて1発カウンター狙い、それも途中からPK狙いに切り替えてこられたらこじ開けるのは至難の業。プレミア全試合出場、選手権でもこれまでの3試合全て出場し、左サイドでドリブル突破を仕掛けていたMF神渡寿一がこの試合ベンチスタート。切り札として途中投入してくるのかと思っていたらそのまま投入せず。監督は明言していないものの、PK戦狙いだったんだと思います。
この戦い方に文句を言う人もいましたが、そもそも静学の選手のドリブルをあれだけ止められる対人の強さはやはりプレミアレベル。たしかにお互いが持ち味を出し合って攻め合う展開に期待していましたが、この試合もまたハイレベルで面白かったです。
ここから先の前橋育英、流経大柏といったプレミアEASTのチームとの戦いはものすごく楽しみでしたが、次の世代へ持ち越し。特に流経大柏のハイプレスを静学がどれだけ剥がしていけるのかというのは見てみたかったでした。残念。
この世代は新人戦優勝、その後のプレシーズンでも勝ち続けていたので23年のプレミア3位超えを期待していましたが、開幕5連敗やホーム大津戦1-8での大敗と苦しい立ち上がりでした。大津戦のときは観客が「今年の静学は弱い」とぼやいてる声が聞こえたりしてました。そこからフォーメーションや選手を試行錯誤して最適解に辿り着き、もちろん各選手の成長もありインターハイ、選手権ではともに全国ベスト8入り、プレミアも見事残留しました。結局今年はインハイ・選手権で両方ベスト8に入ったのは静学だけですし、選手権でも鵜澤を筆頭に観客を沸かせまくりました。この世代は「伸び代最強世代」だと思います。多くの選手がプロを目指して大学でもプレーするのだと思いますが、このまま伸び続けて4年後プロ入りし、Jリーグや世界の舞台で観客を沸かせてくれることを期待しています。
ベスト4決定
国立をかけた準々決勝の結果は以下の通り。
- 静岡学園0(4PK5)0東福岡
- 前橋育英1-0堀越
- 流経大柏8-0上田西
- 明秀日立1-2東海大相模
前橋育英vs堀越は意外にも僅差のスコアとなりました。対して流経大柏vs上田西はプレミアvs県リーグという図式を反映したスコアとなりました。前半6-0で折り返すと、後半はMF昇純希や1年生MF古川蒼真といった今大会まだ出番のなかった選手を投入。和田哲平、亀田歩夢、山野春太が2ゴール、10番柚木創が1G2Aと結果を残しました。明秀日立vs東海大相模は初出場の東海大相模が逆転勝ち。東海大相模は未だにプリンス以上のカテゴリーのチームと試合をしていない強運ぶりを見せており、準決勝でいきなりプレミアEAST高体連最高順位の流経大柏と対戦することになります。パスを繋ぎ、サイドチェンジも多用して相手を揺さぶる良いサッカーをしているとは思いますが、流経大柏相手にどこまで通用するのか。注目です。