全国高校サッカー選手権静岡県大会準々決勝、まず最初の試合は2年前の静岡県覇者の浜松開誠館と県Aリーグで首位を独走し復活を期す東海大翔洋との試合です。
試合記録
スタメン
浜松開誠館は3-3-2-2。GKは静岡ユースの戸塚陸。3バックは同じく静岡ユースの窪田佑介、岩﨑総汰、濱中伊吹。岩﨑は開誠館が全国大会に出場した一昨年の選手権で1年生ながら活躍し、U-17日本高校選抜候補に選ばれた逸材。昨年選手権準決勝の静岡学園戦で前十字靭帯断裂の大怪我を負い長期離脱していましたが、選手権前の9月に待望の復帰を果たしていました。
中盤は真ん中に森下太陽、川合亜門、橘風芽の3人。この3人は昨年の国体メンバー。サイドはともに2年生の水谷健斗と友田龍成。FWは服部洸太郎と安藤則斗の2トップ。
東海大翔洋はインターハイの時と同じ4-3-3。GKは奈良のポルベニルカシハラ出身の生田勢。4バックは右から渡辺悠斗、岩下雄飛、田北琉翔、大竹凌生。岩下は大阪の高槻mydFC出身の1年生。アンカーは10番の太田走で、IHは藤倉凰義と西端健。右WGはエース西田堅翔で左WGは小關雄史。センターフォワードに原田十和。
得点・交代
浜松開誠館 | 2-1 | 東海大翔洋 | ||||
得点者 | ||||||
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前半31分 | 6西端健(アシスト:8西田堅翔) | |||||
13森下太陽 | 後半21分 | |||||
7水谷健斗(アシスト:11田中脩) | 後半26分 | |||||
交代 | ||||||
5友田龍成 ②ヴェルデラッソ松阪 | → | 11田中脩 ③フレスカ神戸 | HT | 11原田十和 ③横浜ジュニオール | → | 18釜下諒 ②FC LESTE |
後半20分 | 2渡辺悠斗 ③東海大翔洋中 | → | 15坂内是太郎 ③東海大翔洋中 | |||
後半27分 | 5大竹凌生 ③FC Fuji | → | 13望月浩翔 ②東海大翔洋中 | |||
後半37分 | 7小關雄史 ③東海大翔洋中 | → | 17吉井涼 ③横浜ジュニオール | |||
8安藤則斗 ③グローブス | → | 17戸枝大耀 ③ジェファFC | 後半40+1分 | |||
9服部洸太郎 ②浜松開誠館中 | → | 19高橋成 ②西濃シティ | 後半40+2分 |
前半は翔洋ペース。前半6分にノーゴール判定だったもののGK生田勢のファンブルから森下太陽にゴールネットを揺らされ、前半13分にも森下にロングシュートを打たれるという立ち上がりでしたが、前半18分に西田堅翔の惜しい右足シュートが出てくるなど徐々に両WGを中心に優位に立ちました。
前半31分に右サイドで仕掛けた西田堅翔のグラウンダーのクロスを走り込んだ西端健が流し込んで翔洋が先制。開誠館は前半ATに押し込む展開を作るも翔洋が耐え切り、翔洋リードで前半を終えました。
ハーフタイムは開誠館、翔洋ともに交代が1人ずつ。開誠館は左WBの友田龍成に代えて田中脩を投入。翔洋はポストプレーでチームを牽引していた原田十和に代えて2年生の釜下諒を投入しました。
後半立ち上がりは引き続き翔洋のペース。後半5分までに左WG小關雄史のカットインシュートや右WG西田堅翔のクロスからのFW釜下諒のシュートなどチャンスを作るものの追加点を奪えず。
そこからは開誠館が押し込む展開。後半6分に右サイドの細かい繋ぎから左サイドの田中脩へ初めてボールが渡るとドリブルを仕掛け、ペナルティエリア前でラストパスを受けた10番橘風芽がポストを叩くミドルシュート。11分にも田中脩のクロスから森下太陽が合わせるなど途中出場の田中脩を中心に流れを引き寄せました。そして、後半21分にMF森下太陽のロングシュートで同点。
さらに後半26分には左WB田中脩からのクロスを右WBの水谷健斗が合わせて逆転。翔洋は前半から一転して押し込まれる展開に、大きく蹴ってクリアするも悉く拾われて攻撃の形をほとんど作れず。浜松開誠館がプリンスリーグの格を示して逆転勝利を果たしました。
所感
前半は翔洋ペース、後半は開誠館ペースと前後半で180度異なる試合となりました。開誠館の方が地力があったと言えばそれまでですが、ハーフタイムの交代はポイントのひとつだったのかなと思います。
翔洋は前半で原田を下げましたが、原田は前線でしっかりポストプレーをできており、翔洋のペースを支えた1人。前半で代えてしまったのは悪手だったのかなと思います。
追記
原田十和は前半開始早々に怪我をしていたとのこと。おそらく前半2分の窪田佑介との競り合いだと思います。
反対に開誠館は途中出場した田中脩がドリブル突破で躍動。田中はカットインしたり深くまで抉ったり縦横無尽のドリブルで明らかに流れを変え、水谷健斗の逆転弾をアシスト。今日の勝利のMVPだと思います。
開誠館にはあまり細かくパスを繋いだり足元の技術がある印象がありませんでしたが(2年前の松本大樹はかなり例外な選手だと思ってました)、試合前のアップでリフティングをやっていたりしてかなり足元の技術を重視していることが窺えました。また、今年の開誠館は2年生のFW米村修人やFW田窪悠己といった主力級のメンバーが選手権登録外となっていたり、国体メンバーにも入っていたDF荒明斗空がこの試合に出ていなかったりして気になっていましたが、選手層の厚さを見せつけました。
開誠館の準決勝は浜名vs藤枝明誠の勝者
開誠館は準決勝で浜名vs藤枝明誠の勝者と対戦します。2022年以来2年ぶりの全国選手権へ向けて残り2勝、次の相手は浜名または藤枝明誠です。
本当は開誠館vs翔洋の後に予定されていた浜名vs藤枝明誠ですが、前半7分で濃霧で2時間半中断。その後再開したものの、0-0で突入した延長前半9分に豪雨中止。最終的に無効試合となり、11/4の第3試合に組み込まれました。”再試合”と書いてあるので前半からやり直すんだと思います。明誠側にレッドカードの退場者が出ていましたがすべて白紙になると思います。今年は草薙陸上競技場と清水総合運動公園が改修で使用できないこともあり日程面など難しいことは理解しますが、もっとうまく運営してほしいところ。ただ、11/4の第3試合に再試合を組み込めたのはグッジョブだと思います。選手・スタッフ・関係者の方々、しっかりリカバリーして準備してほしいです。
翔洋は悲願のプリンスリーグ昇格へ
インターハイで見てかなり期待していた翔洋の選手権はベスト8で終幕となりました。翔洋は県Aリーグ優勝を既に決めており、選手権後は残りのリーグ戦消化、そしてプリンスリーグ昇格プレーオフを控えています。まだまだ厳しい戦いが続きますが、プリンスリーグ昇格をしっかり決めて有終の美を飾ってほしいです。